鳥小屋.txt

主に自作ゲームをつくったりしているよ。制作に関することやそうじゃないことのごった煮ブログ

Steamでフリーゲームを公開して1年経ったので色々まとめてみた

2023年の10月10日に『貴方が狼カードデス!』というゲームをSteamで公開しました。無料のゲームです。

Steamでフリーゲームを公開するのは、僕としては実験的な意味合いもありました。約1年経った今、得られた数値や学びを振り返ってみようと思います。

Steam でフリーゲームを公開した経緯

僕はもともと ゲームアツマール での活動を主体としていました。

『貴方が狼カードデス!』も当初はゲームアツマールでの公開を予定して作成していましたが、制作中にゲームアツマールのサービス終了が発表され、今後の活動方針や公開場所について悩むことになりました

そして『貴方が狼カードデス!』については、一旦は2023年2月にブラウザ版(PLiCy)とスマホアプリ版(AppStore/GooglePlay)をリリースしました。

しかし、今後の活動の方針を考える上では、様々なプラットフォームについての知見や感覚を抑えておくのは重要だと考えました。PCゲームのプラットフォームとしては、やはり Steam は無視できない存在であり、多くのプレイヤーにリーチできるという大きな魅力があります。

一応、過去にコミケで出したゲームを Steam に出したことはありましたが、当時はよくわからないことが多く「とりあえず出せただけ」状態でした。そのため、今回はもう少しいろいろ調べた上で再挑戦してみようと決意しました。

数値で見てみる

Steam とそれ以外のプラットフォームでどういう差が出るのかを感じてみるため、数値で各プラットフォームの比較をしてみます。

2024年9月末ごろの各プラットフォームの数値

プラットフォーム数値
Steamライブラリ追加数:27,985
ユニークプレイヤー数:1,802
iOS(AppStore)ダウンロード数:6,610
Android(GooglePlay)ダウンロード数:1,406
PLiCyプレイ数:5,648
ゲームアツマール
(2023年6月閉鎖)
プレイ数:5,429

こう並べてみると、 Steam のライブラリ追加数が際立って見えます

一方で、Steamで 実際にゲームをプレイしているのは約1,800人(6.4%)です。無料ゲームということもあり、多くの方はとりあえずライブラリに追加しておき、気が向くまで寝かしている状態のようです。僕も有料のゲームすらたくさん積んでる。

ところで Steam には実績機能があり、プレイヤーの実績獲得率が公開されるようになっています。

これを見ると、プレイした人のうち半数以上がエンディングを見ているということがわかります。1800人の半数以上と考えると驚きです。僕の感覚ではフリーゲームのクリア率なんて1割くらいかな、と思っていたため、これは本当に衝撃でした。

余談:iOSとAndroid

今回の主題からは少し逸れますが、今作は何故か iOS 版のダウンロード数が Android 版より遥かに多いという状態になっています。過去にも iOS と Android に同じゲームを出したことがありますが、ここまで差が出ることはなかったので正直謎です。

ストアの掲載アルゴリズムとかの影響なのかな……?

Steamでの公開で得られたこと

今まで届かなかった層にリーチできた

Steam経由で遊んでいただいた方々の感じを見ると、プレイヤーの大半は僕のゲームを今まで遊んだことない人っぽい感触があります。僕はブラウザゲームのプラットフォームでの活動が中心だったため「PCゲームをよくやる人たち」との接点が得られたのは大きな収穫です。

また、今回Steam版の公開のタイミングでいくつかのメディアさんにプレスリリースを送ったところ、記事を掲載していただけたことも大きな要因かもしれません。

ゲーム実況の増加

Steamでの公開後、実況動画が増加しました

単にデスゲームというジャンルが実況向きであることもあるでしょうが、ブラウザ版よりPC版のほうが実況がしやすいという理由もあるかもしれません。

また、そこそこ視聴数があるライブ配信とかで実況されたタイミングでスマホ版のダウンロード数がちょっと増えている気がします。

たしかに動画の視聴者はPCゲーマーじゃない可能性高そうなので、そこで知った人の着地先はSteamじゃないのかもしれませんね。

公開作業はやっぱり大変

Steamでのゲーム公開はやはり作業が多いです。ストアページの設定や画像、ゲームの審査、場合によってはSteamの中の人とメッセージでのやり取りが必要になることもあります。

ただ、このあたりは慣れなのかもしれません。実際、今回はSteamで出すの2回目だったこともあり、ストアページの審査については、特に問題なく進めることができました。

「Steam完全に理解した!」になるためには、あと何作リリースすればいけるんだろうか。

レビューのアイコンが怖い(?)

このアイコン、見ると心臓がビクッとするんですけど、怖くないですか!? なんで真っ赤なの!?

レビュー自体はありがたいのですが、このアイコンが本当に怖い。Valveちゃん、なんとかならんか……!?

次やるとしたら?

今回の学びを経て、「次やるならこうかな?」と思ったことをまとめてみます。

事前準備はやっぱり大事

掲載情報や画像を大量に作る必要があるため、事前にそのあたりは念頭に置いて準備しておくのが良いですね。

今回、Photoshopのアートワークを使っていろいろなサイズの画像を用意してみたのはうまくいったので、そういったツールも活用していきたいです。

なお、Steam に限った話ではないですが、ストアに掲載する画像などにおいては過激な表現とかは注意を払う必要があります。『貴方が狼カードデス!』は題材がデスゲームという関係上、血の表現が入ったスクリーンショットは使わないなどの注意をしていましたが、Google Play においてはアイコンで審査NGになりました。

たしかにね。。。

メディアのお世話にはなろう

今回、プレスリリースをメディアの方々に送ったところ、いくつかのメディアで記事にしてもらえ、それが大きな助けになりました

僕自身には発信力があるわけではないため、このあたりは力を借りることができると非常に助かります。

なお、実際に送ったプレスリリースの内容は以下のものです。これらをPDFやZIPなどにしてメールなどでお送りしていました。10社ちょいほど送ってたはずです。

なお、プレスリリースの作成にあたっては、ChatGPTくんのお世話になりました。真面目で正式っぽい文章の場合、言い回しとか、重複表現とかを指摘してもらえると助かる。

遊んでもらうための手段を考える

無料ゲームとはいえ、積みゲー率94%は課題ですよね……!

無料という部分で気軽にポチはしてもらえるかもしれませんが、やっぱりそこから一歩踏み込むための工夫は必要そうです。実際にすぐ触ってみたくなるような何かとか考えられると良いけど……うーん、むずい!

現代のゲームは『体験』が非常に重要だなというのは日々感じていることなので、そういった部分を意識して考えていきたいところです。

おわり

Steam でのゲームの公開には100ドルほどかかります。フリーゲームだと1円も売上にならないため、100ドルは完全な出費になりますが、それでもいろいろな経験ができたため、挑戦してよかったと思います。

一方で、やっぱり Steam での公開はカロリーが高いなという気はします。少なくとも年に何本もSteamで出す!とかはちょっとしんどそう。

メインの戦場として Steam だけで生活していくのは僕には難しいかもですが、また別の機会で挑戦はし続けていきたいですね!